ヴィーガンって何?

 

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"全ての種に思いやりを"

ヴィーガニズムとは一般的には動物性の製品を消費しない生活のことを指します。ヴィーガンというと、ただサラダを食べて肉を避けるだけの生活と思う方も多いかもしれませんが、それだけではありません。

 

今回のブログではヴィーガンとは何か、なぜヴィーガンライフスタイルを選ぶ人が増えてきているのか、そしてヴィーガンへの移行によってどのように環境問題や動物福祉に貢献できるかを書いていきたいと思います。

 

1)ヴィーガンって何?

2)ヴィーガンになる理由?

3)ヴィーガンになることでの影響

  

 

1)ヴィーガンって何?

 

ヴィーガンとは簡単に、一般的に言うと動物性のモノを消費しない生活そのものや、その生活を実践している人のことを指します。そのような生活を実践するの動機となる思想をVeganismといいます。

 

簡単な例からいえば肉を食べなかったり、革製品のものを身につけないことが当てはまりますが、他にも以下のようなことをヴィーガンの人たちは気をつけます。

 

・卵・牛乳・乳卵製品を消費しない、食べない。

・毛皮を買わない、身につけない。

動物実験を行なっている製品やその会社の他の製品を購入しない、使用しない。

・動物園や水族館へ行かない。

・動物を使ったサーカスへ行かない。

 

etc….

 

このように、動物を利用した産業、商業などに加担しない生活のことをヴィーガニズムといいます。

 

ヴィーガンと同義語のように使われているのがプラントベース(plant-based)ですが、これは食生活(diet)の1種類でヴィーガンとはまた違った意味を持ちます。

 

食生活だけでなくあらゆる面での動物の利用・抑圧・搾取に反対して生活している人をエシカル(倫理的な)ヴィーガン/ethical vegan*1ともいいます。

 

 

 

2)なぜヴィーガンライフスタイルを選ぶ人が増えてきているのか

 

上記のヴィーガンのライフスタイルを見て、食べるもの、着るもの、使うもの、行くところ、などが制限されすぎなのでは?と思う人もいるかもしれません。それでも実は今ヴィーガン人口は特に欧米増えてきています。

 

例えば

 

・イギリス、スコットランドウェールズでの統計によると、過去4年でヴィーガンに移行する人は2倍(2014年人口の0.25%(150,000人)だったのが2016 になると1.16%(600,000人))になった。*2

・2018の調査で、カナダでは人口の7.1%の人はベジタリアン、2.3%がヴィーガンで、特に都市部と若者に集中している。*3

 

最近では日本でもヴィーガンのお店やプラントベースの食生活についてもテレビで取り上げられています。

 

なぜこのようなライフスタイルを選ぶ人が増えてきているのでしょうか?ヴィーガンに移行する理由は人それぞれですが、その中のいくつかを紹介していきたいと思います。

 

a. 畜産・酪農業・その他動物を利用・抑圧・搾取する産業の裏側

 

ヴィーガンになった多くの人がこの理由でお肉を食べられなくなっていると思います。最近では動画サイトやSNSでも見かけることが増えてきましたが、工場式畜産(factory-farming)では動物たちは残酷に扱われ屠殺されます。

 

一般的な飼育・屠殺の例を挙げてみると

 

・牛も人間と同じで妊娠しないとミルクが出ないので、強制的に妊娠させられる。しかし子牛は生まれてすぐに親牛から引き話され個別の小屋や檻の中で育てられる。乳がたくさん出るように選別育種やホルモン注射を打たれることがよくあるが、それによって感染病にかかることは珍しくない。乳牛は乳が出なくなるまで一生立たされ続けされ、乳が出なくなれば食用に屠殺場へと送られる。

・食用に育てられる牛たちは、自分たちの糞尿の上で一生暮らされる。屠殺場では逆さまに吊るされ意識があるまま、首を切られる。

 

・子豚は生まれてすぐに麻酔なしで尾を切られ(ケージが狭いので尾が当たって他の豚を傷つけないように)、オスの場合は去勢もされる。

・屠殺場ではスタンガンで殺したり、それでも意識のあるまま叩き殺したりもする。他にも熱湯で茹で殺しにすることもある。

 

・卵産業でのオスは生まれてすぐのベルトコンベアーでの産別で粉々にされる。メスは一生身動きの取れない程の狭いケージの中で一生閉じ込められ卵を産み続ける。

・食用チキンにされる鶏も同じような状況下で育てられる。大きく、早く育つために化学物質や薬剤を注入されたり、選抜育種をされることもある。この不自然な成長のせいで、心臓発作が起こったり、肺が潰れたりすることもある。彼らの足では支えられない程大きくなる。

・屠殺場では逆さまに吊るされ意識を失わせるはずの電気水を通り、それでもなお意識があるままで首を切られる。

 

このような飼育・屠殺方法は欧米の工場式畜産で主に行われています。もちろん国や地域によって方法は変わってきますが、簡単に言えば、安いほど動物への配慮のレベルは低いです。安く、早く、多く、できるだけ少ない労働力で作れるのには悲惨な現実があることを知っていただけたらと思います。

 

このようにルーティーン化され、常識化された動物たちへの暴力を構造的暴力(Structural Violence)*4とも言います。

 

現代では、ソーセージやハム、ヨーグルト、バター、チーズなどの加工品をよく消費する私たちにとって、自分たちが食べているのがどこからきているかや、その動物たちの苦しみも想像しにくいものです。

 

他にも動物実験や水族館・動物園で監禁され利用されている動物たちもいます。しかし、何気なく生活していると動物たちの苦しみは私たちには分かりようがありません。それは消費者、そして地球市民としての私たちの責任でもありますが、多くの場合は、大企業のロビー活動や広告活動、そして政府による緩い規制によって動物に対する暴力が隠され、正当化されていることが一般的です。

 

 

b. 畜産業による環境への負担

 

空気

 

世界中の温室効果ガス排出の18%を畜産業が占めていると言われています。それは自家用車、トラック、飛行機、そして船から排出される温室効果ガスの合計をも上回ります。*5

 

牛さんや豚さんがゲップやオナラをした時にでるメタンガスはこの温室効果ガスの一つですが、それだけでなく糞尿から出る硫化水素アンモニアなども、周辺地域住民の喘息やその他呼吸器疾患などの原因になるとも言われています。

 

 

土地利用と森林伐採

 

現在、地球上の陸地(氷でない)の約30%が私たちを養う為の野菜やフルーツではなく、私たちが最終的に口にすることになる畜産動物を養う為の餌の為に作られています。*6

 

畜産動物を育てるため、そして彼らを養うための穀物を育てるために森林は伐採され牧草や農地にされ、私たちの生存に必要な酸素の源であるアマゾンなどの熱帯雨林も破壊されています。さらに畜産動物のための森林破壊によって住む環境を失った野生動物も多く、自然の生態系に悪影響を及ぼしています。

 

 

水資源利用と水質汚染

 

世界では新鮮な飲み水が手に入らないとこが沢山あります。先進国でも水質汚染によって水道水が数十年も飲めずにいる地域がいくつもあります。

畜産業はそんな貴重な世界の約3分の1の新鮮な水を使用し、米国だけではおよそ半分もの水が、畜産動物を育てるために使われています。*7 

 

畜産動物の排泄物、殺虫剤(農薬)、化学物質、肥料、ホルモン剤、そして抗生物質などの排水は沿海部の酸欠海域、サンゴ礁の劣化や健康問題などの一因にもなっています。*8

 

 

c. 人権問題

 

 毎年、畜産・酪農業は世界で5億8千600万トンのミルク、1億2千400万トンの鶏肉、9千100万トンの豚肉、5千900万トンの牛と水牛肉そして1千100万トンのラム肉などを生産しています。この生産された合計2億8千500万トンのすべての肉を平等に分けると一人36kgの肉を食べられる計算になります。しかし、アメリカ人が平均約122kgもの肉を毎年食べ、一方でバングラディッシュでは1.8kgだけなのです。*9 

 

このように、食料が平等に分配されないのも畜産業の問題の1つとなっています。

 

それだけでなく、工場畜産や屠殺場で働く労働者たちの、肉体的・精神的影響も近年懸念されています。社会がヴィーガンな生活(動物を搾取しない生活ー2020年5月19日追加)に移行することによって、彼らの仕事が失われるのではないのか、と言う疑問も出てきますが、彼らは好きで動物を殺しているわけではありません。野菜・穀物・果物中右心の生活に移行すれば、その需要にあるセクターが増えるはずですという考え方もできるでしょう。

 

 

 d. 健康問題

 

多くの現代病、癌や心臓病、脳梗塞などは過剰な肉食や卵と牛乳の摂取が関連しているとも科学的研究機関も発表しています。

 

肉の消費が影響するとされる主な病気は

  • 心臓病、大腸ガン、糖尿病、認知症など

乳・卵製品の消費が影響するとされる病気

 

私はあまり健康関係について詳しくないので、これについては“What the Health?” Netflix – 『健康って何なんだ?』 を観るのをオススメします!

 

英語が読める方は『How not to Die』*10 なんかもいい情報源になると思います。

 

 

3)ヴィーガンになることで・・・

 

買い物は投票と同じことです。動物を利用し搾取する企業にお金が回れば、彼らは好き放題動物を苦しめ続けます。無意識にお肉や乳・卵製品を購入したりするだけで、制度化された暴力に加担してしまうことになります。それを止めるのは私たち消費者です。動物を利用・搾取する産業に積極的に反対することが、動物たちへの暴力、環境破壊を止められる一歩になるかもしれません。

 

個人的に、私はヴィーガンになって1年半程になりますが、肉体的にも精神的にも特に異常はありません。1つだけ、ヴィーガンになる前は毎日のように便秘で悩まされていた私ですが、ヴィーガンになってからは、半年に1度くらい(食べすぎた時など)しかなっていません。健康の為にヴィーガンになった訳ではないので、ヴィーガンになって2ヶ月くらい立った時にふと気づいて正直驚きました。(笑)

 

健康への影響は、個人差があるので自分の体と相談しながら食生活を変えていくといいかなと思います。

 

もし、動物や環境、自分の身体のことを大切にしたいけど色々と制御するの大変そうだな、と思った時は、「ヴィーガンになること」や「動物性のモノを食べたり、消費しない」という考え方よりも、「どのように生活したら動物や環境、自分たちの身体を大切にできるだろう?」という意識を持つといいかな、と思います。

 

少しでも多くの人が思いやりを持った生活を始められるといいなと思います :)

 

 

最後に今日からできることリスト:

 

#MeatfreeMonday – 肉なし月曜日から初めてみる

 

・ドキュメンタリーやYouTube動画を見てみる。

(オススメ:cowspiracyNetflixOkjaNetflix / DominionDominion (2018) - full documentary [Official] - YouTube ) 

 

・本を読んでみる

(オススメ入門本:ビーガンという生き方  - Amazon CAPTCHA  / 菜食の疑問に答える13章菜食への疑問に答える13章―生き方が変わる、生き方を変える | ペンと非暴力 )

 

 

次回は

アニマルライツって何?』

 

Thank you :) 

 

- "Our prime purpose in this life is to help others. And if you can't help them, at least don't hurt them." - Dalai Lama

 

 

 

 

 

*1:他には菜食者・脱搾取派などという言葉もあります。詳しくは井上太一さんの用語集を参考に。

用語集 | ペンと非暴力

*2:Key facts | The Vegan Society

*3:https://www.ctvnews.ca/health/mind-blowing-survey-finds-most-vegans-vegetarians-in-canada-are-under-35-1.3841041

*4:これは畜産・酪農業に限らず、女性が社会制度によって不公平な扱いを受けたり、(特定の人種の)移民が差別されたり、等があります。私たちが日頃無意識でしていることもこの構造的暴力に加担しているかもしれません。構造的暴力、並びに似たような制度化された暴力については次回のブログでもう少し詳しく書いていきます。

*5:"Animal agriculture is responsible for 18% of the total release of greenhouse gases world-wide (this is more than all the cars, trucks, planes, and ships in the world combined) Livestock’s Long Shadow: Environmental Issues and Options, a 2006 report published by the United Nations Food and Agriculture Organization)”

Facts on Animal Farming and the Environment - One Green PlanetOne Green Planet

*6:http://science.time.com/2013/12/16/the-triple-whopper-environmental-impact-of-global-meat-production/

*7:http://science.time.com/2013/12/16/the-triple-whopper-environmental-impact-of-global-meat-production/

*8:Run-offs of animal waste, pesticides, chemicals, fertilizers, hormones and antibiotics are contributing to dead zones in coastal areas, degradation of coral reef and health problems" https://www.onegreenplanet.org/animalsandnature/facts-on-animal-farming-and-the-environment/

*9:"Each year the livestock sector globally produces 586 million tons of milk, 124 million tons of poultry, 91 million tons of pork, 59 million tons of cattle and buffalo meat, and 11 million tons of meat from sheep and goats. That 285 million tons of meat altogether — or about 36 kg (80 lb.) per person, if it were all divided evenly. It’s not — Americans eat 122 kg (270 lb.) of meat a year on average, while Bangladeshis eat 1.8kg (3.97lb)" http://science.time.com/2013/12/16/the-triple-whopper-environmental-impact-of-global-meat-production/

*10:

HOW NOT TO DIE, an instant New York Times Best Seller | NutritionFacts.org