気候変動って何?〜後編〜

Hello :) 

 

前回に引き続き今回も気候変動についてお話ししていきたいと思います。だいぶ間が空いてしまって申し訳ないですが最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

 

さて前回の記事では気候変動は、長期間での地球の各地で起こっている異常な気候現象や環境の変化を指すことをお話ししました。そしてその変化には私たち人間の活動、主に大気中への温室効果ガスの排出量の多い産業や、天然資源を搾取する経済活動が大きく関わっていることも。産業革命後の人類の経済活動の「成長」や社会の「発展」は、環境には逆に悪影響を与えており、その影響力は第二次世界大戦後から急速化している様子をグラフを使って示しました。

 

今回は、世界全体で気候変動がどの様に影響しているか、そして私たちが今直面している危機にどう立ち向かっていくかを書いていきたいと思います。

 

 〜前編〜

  1. 気候変動って何?地球温暖化とどう違うの?
  2. どの様に人間の活動が気候変動に影響しているの?

後編

  1. 気候変動って環境だけの問題じゃないの?
  2. 地球の未来を守るために私たちに何ができる?

____________________________________________________________

 

  1. 環境問題だけではない気候変動

 

前回の記事でも触れた様に、気候変動は地球全体に影響を及ぼしています。つまり気候変動の影響は普遍的とも言えます。地球上のどこに住んでいようが少なくても気候変動の影響は明らかになってきています。

しかし、気候変動によって引きよされられる現象がどの様に、どれくらいのレベルで人々の生活や環境に影響してくるかというのは地域や特定のコミュニティ、さらに個人の社会的な位置によっても変わってきます。

 

例えば経済的、政治的、地理的に不利な状況にある人々やコミュニティーはその様な現象に影響されやすい立場にあります。*1この様な人々の住む地域には裕福な地域と比べて公共設備が整っていなかったり、政府や他の国際団体等からの支援が届きにくかったりします。

 

例えばオーストラリアの森林火災が今年2020年の初めに世界中の注目を寄せました。これには世界各国から支援が寄せられ、援助活動がスムーズに行われていました。しかし、それよりも長く水質汚染に苦しんでいるカナダやアメリカの先住民の人々がいたり、洪水、砂漠化、海水面の上昇、それらによる資源の枯渇によって移住を強いられている民族やコミュニティが既に何万人と存在しています。*2

 

このように気候変動の影響で移住を強いられる人々は気候難民(Climate Refugees/Environmental Migrants)と呼ばれたりもします。*3この気候難民や環境汚染に何年も苦しんでいる人々のことはめったにニュースになりません。なので、国際的な支援も少なければ自分たちがどのように彼らの生活環境の悪化に加担しているかなど想像もつかないでしょう。

 

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https://www.bustle.com/p/how-many-climate-refugees-are-there-millions-are-seeking-protections-that-dont-exist-yet-18717000


前回のブログでも強調してきたように、人間の化石燃料に依存した経済活動や生活・森林伐採水質汚染などの問題は先進国に責任があります。しかし気候変動は地球のどこの地域にも影響を及ぼすだけでなく、このような地域には特に打撃を与えます。これらの地域に住む人々は基本的人権である飲み水やシェルターの確保が脅かされており、気候難民は人権問題とも言えます。つまり、私たち先進国は、このように打撃を打たれやすい立場に置かれている人やコミュニティを守る義務があり、その為には化石燃料に頼った経済活動から再生可能エネルギーへの移行を今すぐ進める必要があります。

 

気候変動の影響を受けるのは人間だけではありません。気候変動と、人間の大規模な生産のための森林伐採、「発展」や都市開発事業などが組み合わさり、野生動物たちの住処は次々と失われていっています。現在1~5万の生物が毎年絶滅していると言われています。*4 これは通常の生物種絶滅のスピードよりも千〜1万倍の速度で起こっており、私たちは第六の絶滅機を迎えていると言われています。*5 地球上の生命体とその生命の網を保つ生物の多様性は凄まじい速度で失われており、これによって予想ができないような生態系の崩壊と危機が迫ってきています。*6

 

例えばブラジルのアマゾン森林雨林は「地球の肺」と呼ばれるほど、大量に二酸化炭素を吸い込み、酸素を吐き出す機能をしています。しかし、森林伐採により二酸化炭素の排出量が増えるだけでなく、それによる周辺地域の気候の変動、気温上昇、湿地地帯の乾燥化(とそれによる森林火災の増加)、土壌劣化により、生物多様性の損失が懸念されています。*7これらの原因により何千もの生物種が絶滅の危機にあります。*8さらにこれは、生態系の一部である種としてもですが、一つ一つの動物の命としての認識し懸念する必要もあることを忘れてはいけません。

 

https://www.science101.com/30-animals-amazon-rainforest-extinct/

 

4. 私たちにできる事

 

今まで見てきた様に、人間はこの長い地球の歴史の中の微塵の時間しか地球に存在していないにも関わらず、地球のシステムを変え自然環境を壊し、人間だけでなく様々な動植物を犠牲にしてきまいた。このまま現在の様な化石燃料に依存した経済活動や環境やいのちよりも金銭的利益を優先する様な政策や社会のあり方のままでは手遅れになります。

 

確かに個人的にエコな生活をすることに努めることはとても大事なことです。しかし、それには限界があります。私たちが今最も必要なのは政治・経済のシステムチェンジです。

 

そもそもなぜ化石燃料に依存した生活によって引き起こされた現在の気候危機が様々な気象現象を巻き起こし、何万もの人を移住に強いらせ、健康に被害を及ぼし、動物を絶滅に追い込んでいるという事実があるのになぜ政府や投資している企業はこのような産業から手を引かないのか。それは利益があるから。そしてその利益を守る為に気候変動を否定するよう科学者を雇って、彼ら、利益を享受している人や産業の都合の良いように私たちに見せかけます。

 

今日本では特に民主主義が破壊されようとしています。そんな時だからこそ政治的なアクションが必要なのです。それは選挙にいって、責任のあるリーダーに投票することも大事ですが、抗議活動も重要な政治的なアクションです。言い換えてみると、現在の政治システムでは国民の声は全く取り入れられていない、どころか無視されています*9。石油や石炭産業へ対する助成金だけでなく、それら産業に対する環境保全に関する規制の緩和なども今の新自由主義の政治システムに見られます。

 

加えて、私たちの大量に安価なモノを作り出し、消費する経済活動にも問題があります。これには、利益を最大限にするために安い賃金で労働者を雇い、資源や動物を搾取する経済システム、そしてそれを正当化する政治システムがあります。つまり今の政治システムが搾取的で抑圧的な経済システムを支えているとも言えます。環境やいのちを最優先した政治・経済システムが、今必要です。その為には、私たち市民、国民がコミュニティレベルからでも一団となることが意味のある変化をもたらすのに重要となってきます。

 

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https://www.huffingtonpost.jp/entry/climate-strike-tokyo_jp_5d8562e2e4b070d468ccdbbc

世界の流れにのるように、日本でも全国各地に、Fridays For FutureNo Coal Japan, Climate Action, Extinction Rebellionなど様々な草の根環境・気候正義団体が活動し始めています。ぜひ自分の地域にないか調べ、活動に参加してください。定期的に同じ目標を持った仲間と集まることは、活動家によくみられるバーンアウトを防ぐこともできると私は実際に感じています。情報交換やチームの一員としてだけではなく、お互いの精神的な状態を助け合う仲間、コミュニティ造りができるといいですね。

 

先に、個人の活動も大切だと言いました。もし、このような公然の政治的な活動がどうしても自分に向いていない、と思うのであれば個人でできることもいくつかあります。例えば、

 

・エコバックを使う

・水筒や使い回しのできるトラベルマグカップなどを使う

・包装が少ないものを買う様にする

・車<交通公共機関<自転車<徒歩

 

それよりも強調したいのが、

 

ヴィーガンベジタリアンになる

 

以前のブログでも触れましたが、畜産・酪農業は温室効果ガスの排出が、自動車・飛行機・船など全てのトランスポーテーションの手段から出る二酸化炭素の合計よりも多いことがわかっています。温室効果ガスはオゾン層を破壊するのでそれが地球の温暖化、気候変動につながっていることは明らかです。

 

それだけではなく、畜産・酪農業(農家、動物たちの餌となる穀物の生産、加工プロセス、搬送、輸送、を含む)は水資源や土地を大量に消費し、周辺の環境や生態系を変えています。先ほどアマゾン森林雨林の例を出しましたが、アマゾンで行われる森林伐採の80%が食肉用に育てられる家畜動物の為に行われています。*10

 

オックスフォード大学の研究者によると、ヴィーガンベジタリアンのダイエットをすることで、73%もカーボンフットプリントを削減できるという研究結果も出ています。*11これは個人の環境への影響を減らす、最も有効的な手段であり、世界中の気候科学者もこれを勧めています。

 

これらは確かに個人的なアクションですが、環境へ悪影響を及ぼしている企業やサービスをボイコットするという点で政治的な意味もあるので、その重要さは強調しきれません。

 

これらができたら個人でソーシャルメディアや口頭で気候変動の深刻性を広めることも大切です。環境や気候問題に取り組みたいが「自分だけが頑張っても仕方がない、何も変わらない」と思っている人はたくさんいると思います。自分が少しずつ生活を変えて、周りの人にも環境に優しい生き方をシェアできるといいですね。環境問題に関する記事などを(信憑性を確認した上で)拡散するのも良い方法だと思います!

 

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。このブログを通して、少しでも気候変動とそれによる影響の理解を深める為に役立てたことを願います。その理解が、アクションの糧になりますように。ぜひ前編と合わせて、シェアしてください!

 

それではまた次のブログで。

 

Bye :) 

 

Kaho

 

気候変動って何?〜前編〜

気候変動って何?〜前編〜

 

 

こんにちは  :) 

 

今回は近年国際議会のテーマの1つとしてもよく扱われている『気候変動』(Climate Change)の問題に注目していきたいと思います。なぜ今この環境・社会問題を真剣に受け止め、私たちがアクションを起こしていくべきなのかを書いていきます!

 

〜前編〜

1. 気候変動って何?地球温暖化とどう違うの?

2. どの様に人間の活動が気候変動に影響しているの?

〜後編〜

3. 気候変動って環境だけの問題じゃないの?

4. 地球の未来を守るために私たちに何ができる?

 

 1. 気候変動って何?

恐らく、多くの日本人には『気候変動』よりも『地球温暖化』という言葉に馴染みがあると思います。どちらも地球環境に関わることですが、近年欧米では Global Warming(地球温暖化)だけでなくClimate Change(気候変動)がより懸念され始めてきました。

 

地球温暖化』は、私たちが日本で猛暑や暖冬を経験した際に、「これは地球温暖化のせいか」と感じる人もいると思いますが、正確には『地球温暖化』は「「温室効果ガス」が大気中に大量に放出され、地球全体の平均気温が急激に上がり始めている現象」*1を指し、ただ特定の年や季節、地域だけではなく、地球全体の温度の上昇のことを指します。

 

一方、『気候変動』は、長期的に見ある特定の地域における一年を通した通常の気候(=大気の平均状態)に変化が起きることを指します。*2 さらに気候を変化させる強制力は内部的なものと外部的なものがあり、外部的強制力はさらに自然起源の要因と人為的なものがあります。

 

地球の気候システムを簡単に表したのがこちら。

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上の絵図を見てもわかる様に、気候変動には様々な要因、そしてそれにより様々な現象が起き、環境だけでなく私たちの生活にも大きく影響します。

近年特に懸念されている気候変動の要因は主に人為的なもので、人間の活動による大気中への温室効果ガスの放出や森林破壊が大気中の温室効果ガス濃度を増加させ、それによる地球気温の上昇、つまり地球温暖化という現象が観測されているのです。

 

他にも日本で記録されている現象は

猛暑日の増加

ゲリラ豪雨や暴風(それによる二次災害で洪水、土砂、河川の氾濫による水没)

・海面水位の上昇

・海面温度の上昇

などがあり、他にも

・干ばつ

・洪水

・ハリケーン・竜巻・暴風

などが世界各地で観測されています。*3

 

特に夏でも比較的涼しい地域や年、さらに冬も例年よりも寒くなることもあると「地球温暖化は一部だけの問題」とか、「地球温暖化はウソだ」なんてことも耳にします。しかし、私たちがいま直面しているのは、ただ気温が上昇する現象だけでなく、地球全体の人為的要因による気候の変動、つまり人類による地球の気候システムの撹(かく)乱によって引き起こされる異常な気象だということを覚えていて欲しいです。

  

これらの現象は地域・地形によって起こる現象やその影響力も様々で、降水の多い地域と少ない地域の差の拡大が多くなったり、農作物の生産などにも激しく影響を及ぼしたりもします。また自然な環境・地形・気候も気候変動により変化しているため、多くの野生動物の住処や食糧にも影響を及ぼしています。

 

ただ、先ほども言及した様に、この様な現象は自然起源の要因の場合もあります。しかしなぜこの様な変化が自然のものではなく人為的なものと示されてきているのでしょう?

 

  1. 現代の気候変動は人類によって引き起こされた?!

これはIPCCによって作成された自然な気候変動と、それに人類の経済活動が加わった場合の地球の気温の変化をシュミレーションし更に実際の観測値と比較したグラフです。*4

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青のモデル(自然な要因だけの場合の気候変動)だけを見ると地球の温度の変化が0.0度近くに安定しているのがわかります。しかし赤のモデル(青のモデルに人為的要因が加わった場合)を見てみると、1970年代頃から急上昇していることがわかります。そして実際の観測値は赤のモデルとほぼ同じ様に変化しており、人為的な要因なしでは現在の変化してきている気候を予測、また実際に観測することは不可能、つまり人類の活動が気候の変化・変動の重要な一因となっているということになります。

 

さらに重要なポイントは、1970年代ごろからこの地表温度の上昇傾向が急激化しているということですが、これは他にも見られます。

 

下のグラフは1750年からの環境面での様々な変化を表したグラフです。*5

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  • 大気中の二酸化炭素の濃度
  • 大気中のメタンガスの濃度
  • 大洪水
  • オゾン層の減少
  • 森林雨林・森林の喪失の割合
  • 絶滅した動植物種の数
  • 海岸エリアの窒素フラックス
  • エビの養殖産業の量(沿岸地帯の構造の変化)

 などの変化のグラフが示されています。どれも1950年以降から上昇傾向が急激化しているのがわかりますね。

 

次に、1750年以降の社会・経済面の変化を表したグラフです。  

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  • 世界人口
  • 実質GDPの合計
  • 水利用量
  • 肥料消費量
  • マクドナルドのレストランの数
  • 自動車両の数

 

これらから読み取れるのは、ほぼ全てのグラフにおいて18世紀後半から緩やかな上昇・増加傾向、またその後1950年以降からその傾向が急激化しているということです。この第二次世界大戦後の急激な社会・経済的指数、そして環境負担の急激な上昇・増加のことをGreat Acceleration(急増加・急速化)やExponential Growth(急激な上昇・成長)と言います。

 

現代社会では何かしらにおいてこの様な(特に社会・経済面での)上昇・増加・発展=良いこと、の様な価値観を持っている人が多いと思います。しかし、これらのグラフとここまで見てきた気候変動の傾向を見ても、現在の化石燃料に依存し、環境保護よりも利益第一の社会下での社会・経済の発展・成長は環境破壊を推し進めていることが明確になってきているのです。

 

ここまで気候変動についての基本知識と現在観測されている様々な現象やデータなど使って

・気候変動はただの気候の変化ではなく、地球全体の環境・気候の変化であること

・それにより様々な自然災害や環境変化が起こっていること

・そして現在私たちが経験している気候変動は産業革命以降から始まった化石燃料に依存した経済や第二次世界大戦後の様々な社会・経済変化が大きく加担していること

を説明してきました。

 

後編では気候変動が環境問題だけでなく社会問題であるということを詳しく書いていきたいと思います。

 

ここまで読んでくれた方、ありがとうございます!質問やコメント、訂正点などがあれば気軽にコメント欄にてお申し付けください!

 

(p.s. special thanks to my lovely friend Momo for helping me edit my terrible Japanese writing!)

"Climate Change is no longer some far-off problem. It is happening here. It is happenening now." - Balak Obama

 

Bye,

Kaho

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参加者募集】Climate Action Nagoya (気候変動を止めようアクション名古屋)

G20開催に伴う気候変動ストップアクション!@名古屋栄】

 

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今、世界各地の高校生を中心に学校を休んでまで気候変動(Climate Change)を止めようと訴えかけるストライキ運動 ”Fridays for Future*1/Global Strike for Future”(未来のための金曜日/未来のためのグローバルストライキ)が広まっています。

 

多くの日本人には『気候変動』よりも『地球温暖化』という言葉のほうが馴染みがあるかと思います。これらは、日本のニュースなどでは同義語のように使われることもありますが、実際は『地球温暖化』は『気候変動』の原因と現象の1つで、2つの語は全く同じではありません。

 

今、世界各地で危惧されている『気候変動』とは、自然誘因の気候の変動のことではなく、とりわけ産業革命以降に観測されている人間の経済・産業活動などの人為的要因によって引き起こされる気候の変化のことを指します。

 

温暖化や大気中CO2濃度上昇など、これらの気候変動の現象は産業革命以後の1880年代からみられ、その傾向は第二次世界大戦後期から現在にかけ急激化しています。これは、化石燃料(石炭・石油など)を用いる人間の経済・資本活動が産業革命後にグローバル規模で盛んになり、さらに世界大戦期に拡大した結果です。

 

気候変動により様々な異常気象が世界各地で観測されていますが、日本も近年ゲリラ豪雨や記録的猛暑を経験しており、その例外ではありません。

 

この現状を受け、ニュージーランドコスタリカなど、いくつかの国は100%自然エネルギーを目指すなど、国家レベルで化石燃料依存経済からの脱却を目指す動きも見られ始めています。*2

 

それにも関わらず、日本政府は化石燃料に依存した経済活動、事業活動に歯止めをかけるどころか、積極的に支持しており、気候変動の悪化に世界のトップレベルで関与している自覚が全くありません。米国政府も同様に、温室効果ガス排出削減を目指してオバマ前政権が導入した規制を撤廃し、気候変動を止めるグローバルな潮流に逆らう姿勢を取っています。

 

このままでは私たちの将来が危ない!地球の未来が危ない!いま私たちが気候変動に対して自分事として危機感をもち、一人一人が声を上げて行く必要があります。

 

本日6月28日16:30~18:00頃までClimate Action Nagoya (気候変動を止めようアクション名古屋)を名古屋栄の路上で行います。G20参加国の政府にメッセージを届けるためには一人でも多くの声が必要です。この国際問題の解決に向かって共に立ち上がってくれる方お待ちしております!

 

www.facebook.com

Contact: fridaysforfuturenagoya@gmail.com

アニマルライツって何?

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前回のブログではヴィーガニズムについて書きましたが、その続きで今回はそのヴィーガニズムの基盤概念となるアニマルライツ(動物の権利)についてお話ししていきたいと思います。

アニマルライツは、人権のように法によって保護されておらず、まだ私たちにとっても新しい概念です。今回のブログでは、アニマルライツは何なのか、アニマルウェルフェア(動物の福祉)の立場と比較しながら説明していきたいと思います。


1. 福祉vs 権利
2. ウェルフェアリズムの欠点
3. アニマルライツとは?
4. 社会正義運動の一つとしての動物の権利運動

 

1. 動物の福祉と権利の比較

動物を苦しみから解放させたいという立場をとっている人の考え方の中でも動物の福祉を重視している派と権利を推進しようとしている派に分かれます。どちらの立場も動物が痛みを感じる生き物だということを前提に動物の解放を目標にしていますが、多少違う点があるので比較してみましょう。


A. アニマルウェルフェア/動物の福祉

ウェルフェア/福祉は 「人々の健康や幸せ」という意味で、とくに「より良い」生活を追求する追求する為の政策などの基礎概念になっています。なので、アニマルウェルフェアの立場を取る人も、動物の苦しみや痛みを最小限に抑えることによって、彼らの生活水準や質を上げることに焦点を当てています。この立場をとっている人をウェルフェアリスト(Welfarist)・福祉主義者ともいいます。

ウェルフェアリストが主に推進している具体的な例は、

・豚の妊娠ストロールの廃止
・鶏のバタリーケージの拡大
・化学物質やホルモン剤などを使用しない“オーガニックミート”

など、既に成り立っている動物搾取産業の中でどのように動物たちの苦しみが最低限に抑えられるかということを主に焦点を当てています。つまり動物を“必要の無い苦しみ”から解放させるというのが彼らの目標です。この立場は現在多くの国での動物福祉法や愛護法などにも反映されています。


B.アニマルライツ/動物の権利

一方で、アニマルライツを擁護している人は、動物には内在する価値(Inherent value)があり、それによって動物は倫理的に守られるべき対象として認識しています。人権と同じように、動物にも他人の目標を達成する為の手段として利用されるべきではなく、彼ら自身の幸せを追求する権利(アニマルライツ)があるのです。つまり、アニマルライツを擁護している人にとって、動物のあらゆる利用・抑圧・搾取に反対し、それを生み出している産業を無くすのが目標です。この立場をとる人をAbolitionist(廃絶主義者) *1ともいいます。前回の記事でヴィーガンの人が菜食者や脱搾取派と言われることがありますが、ヴィーガンでも福祉を重視している人ももちろんいます。

ウェルフェアリストと脱搾取派の一番の違いは、前者は動物のwellbeing(良好な身体的・精神的状態)が確保されていれば動物を搾取しても良いという考えの一方、後者はいかなる人間の為の動物搾取にも反対する、というところです。

先ほどの鶏のバタリーケージの例を使うと:
ウェルフェア→ケージの拡大
脱搾取→鶏を自由に、鶏を家畜として飼うこと自体をやめる

つまり、この2つの立場と現在の動物利用産業との間でどこまで、何を妥協するべきかがポイントになると思います。


2. 動物の福祉だけじゃダメなの?

ここまで見ると、動物の福祉の方が現実的な気もします。しかしウェルフェアリストにはいくつかの欠点があります。

例えば、最近欧米では”cage-free eggs”や”free range chicken”というのがありますが、この卵はケージに入れられてない鶏の卵や食用鶏のことを指します。

ケージに入れられていない鶏って皆さんの想像ではこんな感じだと思います。

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これなら、鶏たちも幸せなのでは?と思うかもしれません。

しかし、”cage-free eggs”や”free range chicken”の現実がこれです。

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彼らは完全に、その名の通り“ケージに入れられていない”鶏です。しかもこれは法で定められた”cage-free”や”free range”の審査基準を満たしています。これから分かることは、現在の動物福祉の法律が動物への暴力に対してかなり緩いということです。

実際、現在の動物福祉の法律は、特定の動物や事件、例えばペットへの暴力などを取り扱うだけで、制度化された動物搾取に対しては、動物を守るどころか、動物を搾取する企業を社会的批判から守ったりもしています。((興味のある方は「捏造されたエコテロリズム」を参考に))

更に、カナダやアメリカの動物福祉法は動物の利用や扱いの制限や処罰について、動物を“必要ない痛みや苦しみ”や“非人道的な”扱いから守るよう記してあります。しかし、この痛みや苦しみの“必要性”や動物を扱う“人道性”は最終的には人が決めて、人の都合の良い動物利用を許しています。

例えば”必要ない痛みや苦しみを与えられるべきではない” は“必要ならば苦しめて良い”というようにも解釈できます。だから、例えもし、ケージに入れられず育てられ最終的に屠殺されても、人間の利益が動物たちの痛みや苦しみを上回れば苦しめても良い、という解釈を都合よくされるのです。

それと“人道的な扱い”ともありますが、“人間の利益の為に人道的に殺す”ことはで必ずできません。もし人間の手で動物の命を絶つのであれば、動物が病気やけがで苦しんでいて、安楽死させた方法がその動物にとってベターだと思う時だけであり、私たちが食べたり、着たり、楽しんだり、安全にモノを使用したりする為に”人道的に”殺すことは理がかなわないでしょう。

つまり、ウェルフェアリストの考え方は、必然的に人間中心の考え方となってしまうのです。

 


3. アニマルライツ

それでは、動物の権利を擁護することがどのような形で動物の利益につながるのでしょう。

人間社会では、人種や民族、性別によって差別されず、誰もが幸せに暮らす為の権利があります。例えば国連人権宣言*2では

- 差別からの解放
- 生活・自由・個人的安全をもつ権利
- 奴隷制からの解放
- 残虐な扱いからの解放
- 教育を受ける権利

が確保されています。つまり、この権利を持つこと、つまり、守られるべきだという相互理解の上で個々の幸せが確保されるようにしているのが人権です。

動物も人間と同じように、自由や安全を確保されるべきだ、というのが大まかなアニマルライツの考え方です。そうすることによって、動物を「たべもの」や「実験体」、「エンターテイメント」としてみるのではなく、彼らの本質的価値と命への尊厳に重みをおくのがアニマルライツの考えかたです。

しかし現在はまだ動物の権利は人権のように正文化されてはおらず、アニマルライツあらゆる形での搾取から動物を苦しみから解放させたいという法的、政治的、経済的、社会的立場としてみられています。

アニマルライツを擁護する人の中でも様々な立場がありますが、一般的には動物が自由に人間に搾取されず自然に生きる為の基本的権利だ、というのが共通の考え方です。


4. 社会正義運動としてのアニマルライツ

前回のブログでも書きましたが、今動物たちは人間に様々な形で、利用・抑圧・搾取されており、それは人間の有権によって成り立ち、その有権の根拠は人間が動物種の中でも“最も優れている”という意識や主観的理解によります。

つまり、人間は他の動物よりも優れているという論理のもと、私たちの動物の利用・抑圧・搾取は正当化されています。この、“種”によって個々の命を違うように扱い差別することを種差別/Speciesismといいます。

歴史上(そして現在も)存在している、性別・人種・民族・セクシュアリティが違うので差別をして良い、という思想と似たような考え方です。現在の動物の権利(又は解放)運動と関連論理に大きく影響したピーター・シンガー(1946-)は、著者『動物の解放』の中で“人種差別への根本的な反論は、種差別にも同じように当てはまる”*3と言っており、差別の構造が全て似ていることを示しています。

そのように、社会構造の中で、ある特定の(マイノリティの)人種、性別、セクシュアリティ、種に対しての差別や不平等のことをStructural Violence(構造的暴力)といいます。これによってマジョリティや有権者が社会的有利な立場に立つ一方、マイノリティは抑圧・差別され、それも正当化されるという構造が成り立っているのです。

動物の権利運動も、黒人解放運動や女性参政権運動などと同じように、差別・抑圧・搾取され続けている動物たちを解放しようという社会正義運動の1つなのです。


近年増えてきているアニマルライツムーブメント・動物の権利運動(=動物の権利を推進する社会運動)ですが、時たまアニマルライツが人権と衝突する場合もあります。

例えば、いまカナダのいくつかの地域で先住民族と”Vegans(脱搾取派)”との対立が起こっています。先ほども触れたように、脱搾取派はあらゆる形の動物の搾取に反対しており、その中で先住民の狩猟に反対し、プロテストをし先住民を抑圧している脱搾取派の人もいます。

彼らは間違いなく“種差別”のために戦っていますが、この活動自体が“人種差別”であり、正義を目指す活動としては良くない例です。

なぜかというと、北米の先住民はヨーロッパ人によって、土地も、資源も、文化も、言語も、信仰も奪われ、そのせいで現在でも貧困層に多かったり、差別されたりなど、生活に苦しんで いる人が多くいます。

それに、アニマルライツだけではなく“権利”というもの自体が西洋の概念であるのに加え、先住民の自然や動物との関係は西洋のものとは異なり、それをすでに差別・抑圧されている彼らに押し付けるのは良くない、という考え方もあります。

これについてはアニマルライツを擁護している人の中でも様々な考え方がありますが、彼らの生活や歴史背景を理解しないと全体の絵を想像するのは難しいと思います。

つまり、動物の権利の運動は社会正義運動の一つとして、様々な形の差別をなくすために活動しなければなりません。そのうえで、ある種を特別に見たり扱うのではなく、違いへの理解と多様性への尊厳が重要になってくるのです。

 

ここまで読んでくださった方々、有難うございます。質問やコメント、ご指摘などありましたら気軽にコメントしてください。

ちなみに、アニマルライツのことをもっとしりたいというかたは、6月1日に東京で行われるデモ*4へ是非ご参加ください!私も張り切っていきますよ!!!*5

 


We fight until the last cage is empty ….

 

*1:全てのアニマルライツをする人が脱搾取派とは限らない

*2:

世界人権宣言テキスト | 国連広報センター

*3:原文:“the fundamental objections to racism … apply equally to speciesism” (1990)

[PDF]Animal Liberation by Peter Singer Book Free Download (324 pages) | Blind Hypnosis

*4:動物はごはんじゃないデモ行進 参加してください!March for farm animals

*5:今回のブログでもお分かりになると思いますが、私は動物の権利の立場を取っています。しかし、アニマルライツセンターは「ケージの拡大」や「平飼い鶏(cage-free)の卵の購入の促進」などに集中しており、ウェルフェアリストの立場を度々取っているのが伺われます。ここで明確にしておきたいのが、デモへの参加=当団体の立場・考え方に100%賛成するというわけではありません。

ヴィーガンって何?

 

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"全ての種に思いやりを"

ヴィーガニズムとは一般的には動物性の製品を消費しない生活のことを指します。ヴィーガンというと、ただサラダを食べて肉を避けるだけの生活と思う方も多いかもしれませんが、それだけではありません。

 

今回のブログではヴィーガンとは何か、なぜヴィーガンライフスタイルを選ぶ人が増えてきているのか、そしてヴィーガンへの移行によってどのように環境問題や動物福祉に貢献できるかを書いていきたいと思います。

 

1)ヴィーガンって何?

2)ヴィーガンになる理由?

3)ヴィーガンになることでの影響

  

 

1)ヴィーガンって何?

 

ヴィーガンとは簡単に、一般的に言うと動物性のモノを消費しない生活そのものや、その生活を実践している人のことを指します。そのような生活を実践するの動機となる思想をVeganismといいます。

 

簡単な例からいえば肉を食べなかったり、革製品のものを身につけないことが当てはまりますが、他にも以下のようなことをヴィーガンの人たちは気をつけます。

 

・卵・牛乳・乳卵製品を消費しない、食べない。

・毛皮を買わない、身につけない。

動物実験を行なっている製品やその会社の他の製品を購入しない、使用しない。

・動物園や水族館へ行かない。

・動物を使ったサーカスへ行かない。

 

etc….

 

このように、動物を利用した産業、商業などに加担しない生活のことをヴィーガニズムといいます。

 

ヴィーガンと同義語のように使われているのがプラントベース(plant-based)ですが、これは食生活(diet)の1種類でヴィーガンとはまた違った意味を持ちます。

 

食生活だけでなくあらゆる面での動物の利用・抑圧・搾取に反対して生活している人をエシカル(倫理的な)ヴィーガン/ethical vegan*1ともいいます。

 

 

 

2)なぜヴィーガンライフスタイルを選ぶ人が増えてきているのか

 

上記のヴィーガンのライフスタイルを見て、食べるもの、着るもの、使うもの、行くところ、などが制限されすぎなのでは?と思う人もいるかもしれません。それでも実は今ヴィーガン人口は特に欧米増えてきています。

 

例えば

 

・イギリス、スコットランドウェールズでの統計によると、過去4年でヴィーガンに移行する人は2倍(2014年人口の0.25%(150,000人)だったのが2016 になると1.16%(600,000人))になった。*2

・2018の調査で、カナダでは人口の7.1%の人はベジタリアン、2.3%がヴィーガンで、特に都市部と若者に集中している。*3

 

最近では日本でもヴィーガンのお店やプラントベースの食生活についてもテレビで取り上げられています。

 

なぜこのようなライフスタイルを選ぶ人が増えてきているのでしょうか?ヴィーガンに移行する理由は人それぞれですが、その中のいくつかを紹介していきたいと思います。

 

a. 畜産・酪農業・その他動物を利用・抑圧・搾取する産業の裏側

 

ヴィーガンになった多くの人がこの理由でお肉を食べられなくなっていると思います。最近では動画サイトやSNSでも見かけることが増えてきましたが、工場式畜産(factory-farming)では動物たちは残酷に扱われ屠殺されます。

 

一般的な飼育・屠殺の例を挙げてみると

 

・牛も人間と同じで妊娠しないとミルクが出ないので、強制的に妊娠させられる。しかし子牛は生まれてすぐに親牛から引き話され個別の小屋や檻の中で育てられる。乳がたくさん出るように選別育種やホルモン注射を打たれることがよくあるが、それによって感染病にかかることは珍しくない。乳牛は乳が出なくなるまで一生立たされ続けされ、乳が出なくなれば食用に屠殺場へと送られる。

・食用に育てられる牛たちは、自分たちの糞尿の上で一生暮らされる。屠殺場では逆さまに吊るされ意識があるまま、首を切られる。

 

・子豚は生まれてすぐに麻酔なしで尾を切られ(ケージが狭いので尾が当たって他の豚を傷つけないように)、オスの場合は去勢もされる。

・屠殺場ではスタンガンで殺したり、それでも意識のあるまま叩き殺したりもする。他にも熱湯で茹で殺しにすることもある。

 

・卵産業でのオスは生まれてすぐのベルトコンベアーでの産別で粉々にされる。メスは一生身動きの取れない程の狭いケージの中で一生閉じ込められ卵を産み続ける。

・食用チキンにされる鶏も同じような状況下で育てられる。大きく、早く育つために化学物質や薬剤を注入されたり、選抜育種をされることもある。この不自然な成長のせいで、心臓発作が起こったり、肺が潰れたりすることもある。彼らの足では支えられない程大きくなる。

・屠殺場では逆さまに吊るされ意識を失わせるはずの電気水を通り、それでもなお意識があるままで首を切られる。

 

このような飼育・屠殺方法は欧米の工場式畜産で主に行われています。もちろん国や地域によって方法は変わってきますが、簡単に言えば、安いほど動物への配慮のレベルは低いです。安く、早く、多く、できるだけ少ない労働力で作れるのには悲惨な現実があることを知っていただけたらと思います。

 

このようにルーティーン化され、常識化された動物たちへの暴力を構造的暴力(Structural Violence)*4とも言います。

 

現代では、ソーセージやハム、ヨーグルト、バター、チーズなどの加工品をよく消費する私たちにとって、自分たちが食べているのがどこからきているかや、その動物たちの苦しみも想像しにくいものです。

 

他にも動物実験や水族館・動物園で監禁され利用されている動物たちもいます。しかし、何気なく生活していると動物たちの苦しみは私たちには分かりようがありません。それは消費者、そして地球市民としての私たちの責任でもありますが、多くの場合は、大企業のロビー活動や広告活動、そして政府による緩い規制によって動物に対する暴力が隠され、正当化されていることが一般的です。

 

 

b. 畜産業による環境への負担

 

空気

 

世界中の温室効果ガス排出の18%を畜産業が占めていると言われています。それは自家用車、トラック、飛行機、そして船から排出される温室効果ガスの合計をも上回ります。*5

 

牛さんや豚さんがゲップやオナラをした時にでるメタンガスはこの温室効果ガスの一つですが、それだけでなく糞尿から出る硫化水素アンモニアなども、周辺地域住民の喘息やその他呼吸器疾患などの原因になるとも言われています。

 

 

土地利用と森林伐採

 

現在、地球上の陸地(氷でない)の約30%が私たちを養う為の野菜やフルーツではなく、私たちが最終的に口にすることになる畜産動物を養う為の餌の為に作られています。*6

 

畜産動物を育てるため、そして彼らを養うための穀物を育てるために森林は伐採され牧草や農地にされ、私たちの生存に必要な酸素の源であるアマゾンなどの熱帯雨林も破壊されています。さらに畜産動物のための森林破壊によって住む環境を失った野生動物も多く、自然の生態系に悪影響を及ぼしています。

 

 

水資源利用と水質汚染

 

世界では新鮮な飲み水が手に入らないとこが沢山あります。先進国でも水質汚染によって水道水が数十年も飲めずにいる地域がいくつもあります。

畜産業はそんな貴重な世界の約3分の1の新鮮な水を使用し、米国だけではおよそ半分もの水が、畜産動物を育てるために使われています。*7 

 

畜産動物の排泄物、殺虫剤(農薬)、化学物質、肥料、ホルモン剤、そして抗生物質などの排水は沿海部の酸欠海域、サンゴ礁の劣化や健康問題などの一因にもなっています。*8

 

 

c. 人権問題

 

 毎年、畜産・酪農業は世界で5億8千600万トンのミルク、1億2千400万トンの鶏肉、9千100万トンの豚肉、5千900万トンの牛と水牛肉そして1千100万トンのラム肉などを生産しています。この生産された合計2億8千500万トンのすべての肉を平等に分けると一人36kgの肉を食べられる計算になります。しかし、アメリカ人が平均約122kgもの肉を毎年食べ、一方でバングラディッシュでは1.8kgだけなのです。*9 

 

このように、食料が平等に分配されないのも畜産業の問題の1つとなっています。

 

それだけでなく、工場畜産や屠殺場で働く労働者たちの、肉体的・精神的影響も近年懸念されています。社会がヴィーガンな生活(動物を搾取しない生活ー2020年5月19日追加)に移行することによって、彼らの仕事が失われるのではないのか、と言う疑問も出てきますが、彼らは好きで動物を殺しているわけではありません。野菜・穀物・果物中右心の生活に移行すれば、その需要にあるセクターが増えるはずですという考え方もできるでしょう。

 

 

 d. 健康問題

 

多くの現代病、癌や心臓病、脳梗塞などは過剰な肉食や卵と牛乳の摂取が関連しているとも科学的研究機関も発表しています。

 

肉の消費が影響するとされる主な病気は

  • 心臓病、大腸ガン、糖尿病、認知症など

乳・卵製品の消費が影響するとされる病気

 

私はあまり健康関係について詳しくないので、これについては“What the Health?” Netflix – 『健康って何なんだ?』 を観るのをオススメします!

 

英語が読める方は『How not to Die』*10 なんかもいい情報源になると思います。

 

 

3)ヴィーガンになることで・・・

 

買い物は投票と同じことです。動物を利用し搾取する企業にお金が回れば、彼らは好き放題動物を苦しめ続けます。無意識にお肉や乳・卵製品を購入したりするだけで、制度化された暴力に加担してしまうことになります。それを止めるのは私たち消費者です。動物を利用・搾取する産業に積極的に反対することが、動物たちへの暴力、環境破壊を止められる一歩になるかもしれません。

 

個人的に、私はヴィーガンになって1年半程になりますが、肉体的にも精神的にも特に異常はありません。1つだけ、ヴィーガンになる前は毎日のように便秘で悩まされていた私ですが、ヴィーガンになってからは、半年に1度くらい(食べすぎた時など)しかなっていません。健康の為にヴィーガンになった訳ではないので、ヴィーガンになって2ヶ月くらい立った時にふと気づいて正直驚きました。(笑)

 

健康への影響は、個人差があるので自分の体と相談しながら食生活を変えていくといいかなと思います。

 

もし、動物や環境、自分の身体のことを大切にしたいけど色々と制御するの大変そうだな、と思った時は、「ヴィーガンになること」や「動物性のモノを食べたり、消費しない」という考え方よりも、「どのように生活したら動物や環境、自分たちの身体を大切にできるだろう?」という意識を持つといいかな、と思います。

 

少しでも多くの人が思いやりを持った生活を始められるといいなと思います :)

 

 

最後に今日からできることリスト:

 

#MeatfreeMonday – 肉なし月曜日から初めてみる

 

・ドキュメンタリーやYouTube動画を見てみる。

(オススメ:cowspiracyNetflixOkjaNetflix / DominionDominion (2018) - full documentary [Official] - YouTube ) 

 

・本を読んでみる

(オススメ入門本:ビーガンという生き方  - Amazon CAPTCHA  / 菜食の疑問に答える13章菜食への疑問に答える13章―生き方が変わる、生き方を変える | ペンと非暴力 )

 

 

次回は

アニマルライツって何?』

 

Thank you :) 

 

- "Our prime purpose in this life is to help others. And if you can't help them, at least don't hurt them." - Dalai Lama

 

 

 

 

 

*1:他には菜食者・脱搾取派などという言葉もあります。詳しくは井上太一さんの用語集を参考に。

用語集 | ペンと非暴力

*2:Key facts | The Vegan Society

*3:https://www.ctvnews.ca/health/mind-blowing-survey-finds-most-vegans-vegetarians-in-canada-are-under-35-1.3841041

*4:これは畜産・酪農業に限らず、女性が社会制度によって不公平な扱いを受けたり、(特定の人種の)移民が差別されたり、等があります。私たちが日頃無意識でしていることもこの構造的暴力に加担しているかもしれません。構造的暴力、並びに似たような制度化された暴力については次回のブログでもう少し詳しく書いていきます。

*5:"Animal agriculture is responsible for 18% of the total release of greenhouse gases world-wide (this is more than all the cars, trucks, planes, and ships in the world combined) Livestock’s Long Shadow: Environmental Issues and Options, a 2006 report published by the United Nations Food and Agriculture Organization)”

Facts on Animal Farming and the Environment - One Green PlanetOne Green Planet

*6:http://science.time.com/2013/12/16/the-triple-whopper-environmental-impact-of-global-meat-production/

*7:http://science.time.com/2013/12/16/the-triple-whopper-environmental-impact-of-global-meat-production/

*8:Run-offs of animal waste, pesticides, chemicals, fertilizers, hormones and antibiotics are contributing to dead zones in coastal areas, degradation of coral reef and health problems" https://www.onegreenplanet.org/animalsandnature/facts-on-animal-farming-and-the-environment/

*9:"Each year the livestock sector globally produces 586 million tons of milk, 124 million tons of poultry, 91 million tons of pork, 59 million tons of cattle and buffalo meat, and 11 million tons of meat from sheep and goats. That 285 million tons of meat altogether — or about 36 kg (80 lb.) per person, if it were all divided evenly. It’s not — Americans eat 122 kg (270 lb.) of meat a year on average, while Bangladeshis eat 1.8kg (3.97lb)" http://science.time.com/2013/12/16/the-triple-whopper-environmental-impact-of-global-meat-production/

*10:

HOW NOT TO DIE, an instant New York Times Best Seller | NutritionFacts.org